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㊙展 めったに見られないデザイナー達の原画

東京都の六本木で開催中の「㊙展 めったに見られないデザイナー達の原画」に行ってきました。この展覧会では、日本デザインコミッティーに所属するデザイナーさんたちがデザイン過程で生み出したスケッチや図面、模型などを観ることができます。サブタイトルにある通り、”めったに見られない”作品の数々で、とても刺激的でした。クリエイターを目指している学生はもちろんのこと、STEAM教育のA(アート・デザイン)に携わっている教員の方にもお勧めの展示会です。(開催期間は3月8日まで。)


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展示会の概要

会期: 2019年11月22日(金)- 2020年3月8日(日)
会場: 21_21 DESIGN SIGHT ギャラリー1&2
休館日: 火曜日(12月24日、2月11日は開館)、年末年始(12月26日 - 1月3日)
開館時間: 10:00 - 19:00(入場は18:30まで)
入館料: 一般1,200円、大学生800円、高校生500円、中学生以下無料
公式ホームページより引用

展示の様子

個人的なMVP作品

展示されていた作品はどれも素晴らしく刺激的でしたが、その中で個人的なMVP作品を選ぶとしたら、田中俊行氏による博物館の空間デザインです。

上記の作品を見て、田中俊行氏のデザインプロセスに感銘を受けました。氏は博物館の展示の空間デザインを考えるにあたり、展示作品をすべてノートにスケッチしていました。

これは私の憶測ですが、氏は展示作品をスケッチする作業を通して、創造的なアイディアを閃く状態(U理論のプレゼンシング)に自身を持っていったのだと思います。一流のデザイナーが創造の海に潜るプロセスを垣間見れることができて、鳥肌が立ちました。

子供たちの多様性と学校教育

今回の展示を通して、本当に様々なデザイナーの様々な思考プロセスを感じることができました。理論的なアプローチを好むデザイナーもいれば、感性的なアプローチを好むデザイナーもいて、多様性をすごく感じました。そして当然の帰結ですが、子供たちの思考にも多様性が存在するということを考えさせられました。

右と左でデザイナーのアプローチが異なっている

今回の展示会のデザイナーさんたちは、果たしてチョーク&トークの学校教育で才能を伸ばすことができたのでしょうか。そんなことはあり得ないでしょう。デザイナーの多種多様なアプローチは、彼らが試行錯誤の末に編み出した結晶であって、工業化社会の画一的な授業では到底たどり着ける領域ではありません。むしろチョーク&トークの授業は、子供たちの才能と好奇心の芽を潰すことさえあるのですから。

一部の私立学校ではSTEAM教育などを通して、子供たちの多様性を尊重した教育を行っています。絶望することはないと思います。ただ、そのような学校はまだ少数です。多くの学校で、願わくば世界中の学校で、子供たちの多様性を尊重した教育が行われて欲しいなぁと。展示会の帰り道に、そんなことを考えました。