5月30日(土)に開催された「第1回サイエンスカフェしんじゅく」にゲスト講師として登壇しましたので、開催レポートをお届けします。
「サイエンスカフェしんじゅく」とは、エコギャラリー新宿(新宿区立環境学習センター)さん主催の、科学者や研究者とともに楽しみながらサイエンスを味わえる参加・体験型ワークショップです。
【環境月間フェア】サイエンスカフェしんじゅく「宇宙から見た地球 ~青い惑星の見つけ方~」(実施:5/30 応募締切:5/29) (主催イベント)
今回のテーマは「宇宙から見た地球 〜青い惑星の見つけ方〜」。参加者は6歳から60代までと、幅広い世代の25名の方々にご参加いただきました。
ガガーリンの見た景色
「地球は青かった」
人類初の宇宙飛行士ガガーリンが「地球の青さ」を目にしてから約50年。今や私たちは、人工衛星や国際宇宙ステーションの映像を通して、気軽に「宇宙から見た地球」を楽しむことができます。
今回、会場で紹介した動画はこちら。国際宇宙ステーションから見た地球の映像を、タイムラプスを使ってコマ送り編集した動画です。
NASAより「Earth Illuminated: ISS Time-lapse Photography」
動画は3分と短いですので、お時間のある方は是非お楽しみください。今回のサイエンスカフェでは、動画を見た後に自分がガガーリンになったつもりで「宇宙から見た地球」の感想をシェアしてもらいました。
ちなみに、国際宇宙ステーションの高度は約350km に対し、ガガーリンが行った弾道宇宙飛行の高度は181〜327km。ガガーリンの見た景色は、国際宇宙ステーションの映像よりも若干地球に近いイメージになりますね。
青い惑星の見つけ方
「宇宙から見た地球」を楽しんだ後は、いよいよ最先端の研究紹介です!今、天文学の研究現場では「地球に似た惑星」を探す取り組みが世界中で行われるようになりました。今回のサイエンスカフェでは、次の8つのキーワードをもとに「青い惑星の見つけ方」についてお話しさせて頂きました。
例えば「4175」。実はこの数字、これまで天文学者が発見した「太陽系の外側にある惑星の数」を表しています(2015年1月時点)。しかも、そのほとんどの惑星は2009年以降に発見されたのです。つまり、ここ数年間で青い惑星を探す研究は劇的に進歩したのです。
サイエンス・ワーク「宇宙人への手紙」
一般的には、ここまでの講演形式のみで終わるサイエンスカフェが多いですね。でも今回は一味違います。主催であるエコギャラリー新宿さんの意向もあり、さらにサイエンス・ワークを行わせて頂きました。
サイエンス・ワークとは、科学を題材にしたアクティブ・ラーニング形式の教育ワークです。今回はサイエンスカフェ用にアレンジした「宇宙人への手紙」を、4人1組のグループに分かれて体験してもらいました。
ワークに年齢は関係なし!大人も子供も一緒にアイディアを出し合います。
ご家族で参加されている方もいらっしゃいました。子供から出てくるアイディアには、大人でもハッとさせられます。
ワーク終盤!グループで協力しながらメッセージを作り上げていきます。こうして出来上がった宇宙人への手紙は、
サイエンスに基づく宇宙人へのメッセージもあれば、
地球の美しさや平和のビジョンを伝えるメッセージもありました。
地球環境とドレイクの式
今回のサイエンス・ワーク「宇宙人への手紙」は、「宇宙人とコンタクトが取れるとしたら」という仮定のもとに行っています。では果たして、私たち地球人は、他の惑星に住んでいるだろう宇宙人とコンタクトを取ることができるのでしょうか。
天文学には、この可能性を科学的に計算するための方程式があります。ドレイクの式、通称「宇宙人方程式」とも呼ばれるこの方程式は、様々なファクター(要因)によって宇宙人とコンタクトできる可能性が変化すると私たちに教えてくれます。ドレイクの式の中で最も大きなファクターは「技術文明の寿命」、言い換えると「地球環境の寿命」なのです。
人類が宇宙人とコンタクトできる技術を持ってから100年足らず。昨今、様々な地球環境の問題が表面化する中、私たちはあと何年地球環境を存続させることができるでしょうか。それが数100年なのか数億年なのかによって、私たちが宇宙人とコンタクトできる可能性は100万倍も変わってくるのです。宇宙に目を向けることは、私たちの住む地球環境に目を向けることでもあります。今回のサイエンスカフェを通じて、新しい気づきや発見をお持ち帰りいただけたのなら嬉しいです。
サイエンスカフェしんじゅくでは、今回のような体験型サイエンスカフェを継続的に開催していくそうです。「環境問題と科学」についての新しい学びを体験したい方は、ぜひFacebookをチェックしてみてくださいね。