(承前)2月16日(日)に開催された第4回新中学入試セミナーの開催レポート(2)です。首都圏模試センター取締役・教育研究所長である北一成氏の基調講演の続きです。北先生は私立・国立中受験者数が6年続きで増加したことの背景には『私立中高一貫校の「学び方」の変化』があると指摘し、そのことが「学校の顔」である入試問題の多様化に表れていると語りました。
保護者の反応
聖学院の「ものづくり思考力入試」、和洋九段女子のPBL型入試、工学院の思考力テスト(図書館入試)、聖セシリア女子のグループワーク型読解・表現入試など、中学入試は多様化しています。この中学入試の多様化に対して、保護者はどのように感じているのでしょうか。思考力入試の受験者数(応募者数)の推移を見てみましょう。
2014年は2,000名足らずだった受験者数も、2018年には1万人を越え、今年は約13,000名に達しました。また2019年→2020年は、思考力入試の実施校が2校増えただけなのに対し、受験者数は700名ほど増加しています。保護者と子供たちが新しい思考力入試を歓迎していなければ、このような右肩上がりの推移は出てこないのではないでしょうか。(このような新タイプ入試の受験市場は、2024年ごろまで成長を続けるだろうと北先生は予測されています。)
保護者の意識変化
近年、このような大きな転機を迎えている中学入試の背景には、保護者の意識変化が根底にあると北先生は考察します。保護者の意識変化が入試の多様化を引き起こし、それが入試の人気動向の変化にも表れてきているのです。
1987年から1991年の受験市場の第一次成長曲線は「私立中高一貫校の大学進学実績の優位性」がポイントだったため、この当時の保護者の意識は「偏差値重視の学校選び」でした。それから30年、偏差値重視の価値観は今でも根強く残っていますが、ここにきて保護者の学校選びの観点が変わりつつあります。新しい学校選びの観点は、「先見性」「多様性」「ICT教育」「自己肯定感」「自主性」「英語4技能」「協働性」など、多様化しています。まさに個別最適化の時代の観点ですね。
最後に北先生は、和洋九段女子のPBL型入試を例に挙げ、新タイプ入試は「生徒一人ひとりの才能を大事にする試験」であり、だからこそ保護者と生徒に受け入れられているのだと言います。そして和洋九段女子のPBL型入試は、その裏付けにPBL型授業の確かな実践があるのだと語り、次の和洋九段女子の中込校長にバトンを渡しました。(続く)
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