大学の出願書類に関する生成AIの利用について

先日、大学出願書類の作成において、ChatGPTのような生成AIの使用を避けるよう呼び掛ける大学が登場し、教育関係者を巻き込んだ議論が新たに浮上しています。ChatGPTが登場してからわずか9ヶ月という短期間で、生成AIという新しいテクノロジーが大学入試の実施方法に影響を与え始めています。


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生成AIの利用をめぐる議論

具体的な詳細については以下の記事を参照してください。

記事によると、上智大学と青山学院大学は推薦入学試験の入試要項において、ChatGPT等の生成AIの利用を明確に禁止しています。特に青山学院大学は、「出願者自身で考えた文章」を提出することを要求しており、人工知能等による自動生成や他者による作成は禁じられています。

「大学の出願書類作成に生成AIを利用すること」については、賛成派と反対派で意見が二分しています。反対派は、「出願書類は受験生の個々の考えや思いが反映されるべきで、その代用手段として生成AIを利用することは許容できない」と主張しています。対照的に、賛成派は、「生成AIを効果的に活用して優れた文章を作り出す能力が現代社会において求められるべきで、これ自体が一種の思考力である」との立場を取っています。どちらの観点にも一理あると考えられ、大学が何を評価しようとしているのかによって、その適用性が決まるでしょう。

しかし、この議論には一部課題が残されています。大学が「出願書類作成に生成AIを使用すること」を禁止するとしても、現状の技術では生成AIが使用されたかどうかの判断は難しいです。さらに、「生成AIの利用は禁止」と断言されても、何が許可され、何が禁じられているのか明確ではありません。例えば、生成AIを用いて出願文書全体を生成することは禁止だとしても、ドラフトのブラッシュアップや校正に生成AIを使用することは許されるのでしょうか。現行の入試要項では、この点を明確に判断するのは困難です。

加えて、生成AIによる文章と人間が作成した文章の区別が難しいことは、入試問題自体の質に問題があるのではないかという声もあります。一部の入試担当者からは、「これまでの出願書類には塾や高校教員の手が入ることを前提としていた」という意見があり、今後は生成AIの使用も考慮した評価方法へと進化していくかもしれません。

ChatGPTの登場から一年足らず。しかし、その影響はすでに大学入試にも及んでいます。これからの変化について注視していく必要があります。