昨日のブロブで紹介したように、次期教育振興基本計画のコンセプトに「日本社会に根差したウェルビーイングの向上」が挙がっており、今後5年間の日本教育の大きな方向性となる可能性があります。そこで今日はウェルビーイングを測定する「ものさし」とその歴史についてのお勧め記事を紹介します。子供たちのウェルビーイングを考える上で参考になりますので、興味のある方はぜひチェックしてみてください。
ウェルビーイングはどのように測定されているか(全2回)
お勧め記事はこちらです。
この手のニュースを目にすると「やはり日本の幸福度は低いのか・・・」と暗澹たる気持ちにさせられます。
しかし、そもそも一体どこの誰が「日本人の幸福度」を測定しているのでしょうか?さらにその「幸福」とやらはいつの間に定義されていたのでしょうか?
言うまでもなく、本来注目すべきはランキングではなく、ウェルビーイングの定義です。もしその定義が日本人にとって納得のいくものでなければ、ランキングは何の価値も持ちません。結論から述べると、実際にウェルビーイングの調査項目を設計した一人であるジム・ハーター氏(ギャラップ社、Chief Scientist of Workplace Management and Well-Being)は、次のように述べています。
「ウェルビーイングの調査項目では、“体験”と“評価”の2つを尋ねています(図1参照)。体験は5つのポジティブ体験と5つのネガティブ体験を調査前日に経験したかどうか、評価は自分の人生を10段階で判断してもらっています」
最初に言っておかなければならないのは、前回のコラムの冒頭で紹介した国連の「幸福度ランキング」は、あくまで「評価」のランキングであるということです。たとえば日本は、「評価」ではたしかに58位と低いですが、日々の生活におけるネガティブ体験の少なさでいえば世界トップ11位に入っています。
いずれにせよ、ギャラップ社の調査によってはじめて明らかになったのは、それが体験であれ評価であれ、「世界各国のウェルビーイングには大きな違いがみられる」という現象です。
そこで研究者たちが次に追いかけた問いは、「経済的な要因(GDPや収入)によってその違いはどれほど説明できるのか?」というものです。