昨日12月19日、文部科学省から教育委員会へ学校コンピューター教室についての通知が出されました。GIGAスクール構想によって1人1台ICT端末が配られる中、学校のコンピュータ教室を廃止しようとする動きに「待った」をかけるためです。GIGAスクール時代にコンピュータ教室はどう変化していくのでしょうか。
私立学校の新しいコンピュータ教室
朝日新聞社さんが早速記事で取り上げています。
小中学校、高校のコンピューター教室を廃止する動きが各地で相次ぐなか、文部科学省は、高性能の端末を置くなど同教室を発展的に更新することを促す通知を、19日にも各教育委員会に出す。既に各学校では1人に1台端末が配られているが、文科省は、各自の端末での学びを広げるにはコンピューター教室の充実が必要とし、廃止の動きに「待った」をかけたい考えだ。
問題の文部科学省からの通知はこちらからダウンロードできます。
こちらの通知では、学校のコンピュータ教室に求める事項として次のことが記載されています。
- 1人1台端末環境等の整備に伴い、コンピュータ教室については、教科・科目の内容に応じ、個別の端末では性能的に実現が困難な学習活動を効果的に行うことができる空間として捉え直した上で、高機能化や他の学習空間との有機的な連携・分担を図りながら、個人やグループでの活動が可能な自由度の高い空間とすることが望ましい。
- 情報機器や情報ネットワークの将来の更新、増設等も考慮し、コンピュータ等 の情報機器、机、無線 LAN やコンセント等を利用しやすいよう配置することので きる面積、形状等とすることが重要である。また、図書館等と連携し、児童(生徒)の様々な学習活動を支える学習・情報センターとしての機能を持たせた計画とすることも有効である。
コンピュータ教室は、従来の「単に生徒がコンピュータを使える教室」という単純なものからその役割を進化させることが期待されているわけです。GIGAスクールによって1人1台環境になり、生徒が時間・場所にとらわれずコンピュータを活用できるようになったわけですから、コンピュータ教室も進化が求められるのは必然でしょう。1人1台ICT端末だけでは実現が難しい活動に取り組める場所として、コンピュータ教室を再構築することが重要です。
実際、一部の私立学校では数年前から「新しいスタイルのコンピュータ教室」の導入が進んでいます。例えば工学院大学附属中学校・高等学校では「MakeR∞m(メイクルーム)」といって、高性能なパソコンや3Dプリンタなどいろいろな設備が用意されています。生徒たちは自由にプログラミングやモデリング、マインクラフト、動画編集、イラスト・デザインなどができるわけです。
また静岡聖光学院中学校・高等学校では、STEAM教育の拠点として「BIGIRION-Garage」という教室を用意しています。こちらの教室ではプログラミングや3Dモデリング、3Dプリンターによる造形、デジタルグラフィックアート、ドローンや映像、音楽などに取り組むことが可能です。私も直接視察したことがありますが、クリエイティブな学習をするのに最適な環境となっていました。
このように私立学校ではコンピュータ教室を新しい形へと進化させる動きが進んでいます。生徒たちの新しい学びの場として、コンピュータ教室をどのように活用していくかを学校で考えていくことが大事ですね。
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