私のメインのお仕事は教育コンサルタントで、普段は学校で教員研修を行ったり講演会でお話をしたりしています。でも実はこっそりエンジニアの仕事も行っています。もちろん本業の負担にならない程度に、ですが。昔のようにゼロからウェブサービスやアプリを開発する時間はとれませんが、ちょっとした相談や開発は引き受けてきました。そして先日、ちょっと面白い案件の相談がやってきました。
守秘義務があるので詳しくは言えませんが、相談内容は「ある経営数字を事前に予測したい」といったものでした。最初は、「過去の経営データから統計モデルを構築して予測精度を高めていく」という方針で考えていました。
ところが蓋を開けてみると、過去の経営データが数年間に渡ってしっかり蓄積されていたことが分かりました。これだけのデータセットがあれば、AI(正確には機械学習)を使った予測もできそうです。ということで、急遽AIを使った手法を検討することにしました。
そして現在その準備を進めているのですが、想像以上にAIを使った分析は大変だと実感しています。AIを「野菜炒めの料理」で例えてみましょう。食材となるのは大量のデータで、本丸のAI学習は野菜を炒める行為に例えられます。このAI野菜炒めの大きな特徴は、ものすごく大量の野菜(データ)が必要になることです。
AIが必要とする大量のデータは、企業が蓄積してきたデータだけではありません。たとえば天気データ(天気、気温、湿度、降雨量、降雪量、天気予報の降水確率)、人口データ(周辺地域の人口、世帯数、年齢別人口、昼間人口、夜間人口)、移動手段データ(車の登録数、周辺駐車場台数、ガソリン価格、電車・バスの本数)、なども必要になってくるのがAIなのです。今回の案件に使うデータはまだリストアップできていませんが、その数おそらく100種類は下らないと思います。
さらに!野菜をそのままフライパンで炒めることが出来ないように、データもそのままAIに放り込むことができません。野菜と同じように、これらの大量のデータも下準備(データ整形)が必要になります。これも大変な作業になります。
このように、AIは準備がとっても大変です。そもそも大量のデータがないとAI自体が使えないのもネックです。連載中のプログラミング教育の論考でも書きますが、この労力(コスト)に見合う成果が期待できない仕事にはAIは使われないでしょう。AIは決して万能ではないのです。