昨日は北区の中央公園文化センターで「親子で学ぶ星と宇宙〜冬の星座と宇宙の果て〜」を開催しました。私の院生時代の専門分野は「渦巻銀河における星間物質の進化」でしたので、今回の講座のテーマである「宇宙の果て(=宇宙論)」は専門外でした。もちろん宇宙論は院生時代にも勉強しましたが、講座で扱うからには最新情報も抑えておきたい。そこで宇宙論に関する書籍を何冊か読んだのですが、その中で一番面白かった本を今日は紹介したいと思います。
書籍紹介
東京大学大学院の須藤靖教授による最新の宇宙論に関する本です。宇宙論と聞くと難解なイメージですが、この書籍は一般の方にも分かりやすいように丁寧に書かれています。Amazonでの評価も☆4.7(2020年1月20日現在)なので、評価はとても高くなっています。
こんな人にお勧め
宇宙について、次のような疑問を持ったことはありませんか。
- 宇宙に果てはありますか?
- 宇宙には始まりがあったのですか?
- 宇宙はある場所が爆発して生まれたのですか?
- 宇宙人はいますか?
これらの疑問を持ったことのある人でしたら、この本を読めば楽しめると思います。慌てて補足しますと、これらの本質的な質問に対して、正解はまだ分かっていません。多くの宇宙物理学者が研究をしている真っ最中だからです。ただ、この本を読むことで、現役の宇宙論研究者がどのように考えて、どのような宇宙観を持っているかを知ることができます。その考えや宇宙観は、とても魅力的でエキサイティングな内容なのです。
お勧めポイント
個人的なお勧めポイントを挙げると、まずは内容が新しい点です。この本が発行されたのは2019年1月なので、最新の宇宙論について知ることができます。科学の研究は日進月歩なので、どうせ読むなら新しい情報に触れたいですよね。
二つ目のお勧めポイントは、内容が分かりやすい点です。個人的にとても良かったのが「イメージ図(概念図)」がたくさん使われていた点です。「宇宙の地平線球」や「マルチバース」などの難しい概念も、イメージ図がたくさん用意されているため、初心者でも理解しやすくなっていました。
最後のお勧めポイントは、幅広い人たちをターゲットにした本だという点です。ちょっと宇宙に興味がある人から、大学で物理や天文を勉強したことのある人にまでお勧めできる内容です。初心者の読者は、全部を完璧に理解しようとしないで、大まかな世界観・宇宙観を捉えるように読むと楽しめると思います。さすがに宇宙論を専門にしている人には物足りないと思いますが、天文・宇宙に詳しい人でも十分勉強になる内容だと思います。良かったら手に取って読んでみてくださいね。